法人成りを考えるなら、個人成りする可能性も考えておく必要があるでしょう。個人成りとは法人から個人事業主に戻ることです。取引先の減少や会社規模の縮小などを理由として、法人が個人成りすることは珍しくありません。しかし、もっと自由に動きたいといったポジティブな理由で個人成りする場合もあります。個人成りはネガティブなものではないのです。そのため、将来個人事業主として仕事を再開する可能性を考え、個人成りの方法も知っておくことをおすすめします。
個人成りする場合、特に会社を休業する場合には異動届に休業することを記載して、会社の所在地を管轄する税務署と自治体の役所に提出します。なお休業の場合、法務局での登記が不要なため登記費用は必要ありません。税務署には異動届だけでなく、給料支払い事務所の廃止届出書及び、消費税の納税義務者でなくなった届出書を提出します。なお、休眠させる法人であっても、毎年確定申告を行う必要があります。また、形式的な役員変更登記も行います。最後の登記から10年経過しても役員変更登記を行わない場合、会社を解散したとみなされるため、注意しましょう。休眠の申請をしても税金の滞納がある場合には休眠自体が不可能となるため、必ず支払ってから手続きを行うことも重要です。
また、会社の事業を休眠させたら、税務署に個人事業を始める開業届を提出します。ただし、登記などの必要はありません。個人成りである以上、登記をする必要がなく仕事をやればやっただけの報酬を受け取ることができます。また、青色申告を行うことで控除により節税対策が行えることもメリットの一つです。会社を休眠させて個人事業主としての手続きが行われないと、税務署からの追徴課税が行われるため、必ず手続きをしておきましょう。取引先への通知も忘れず行い、会社名義のものを個人名義に切り替えるまでは、個人成りになることは難しいことも理解しておいてください。